ピクトグラミングを設計・実装する際に,ある機能を利用可能にしようか否かという判断に一番気を使います.
ピクトグラミングにもいくつか表立って公開していない機能があります.
それらの多くは,デザイン指針に準じたピクトグラムを作るという目的のみで考えると,必要ない機能,あるいは逸脱したデザインのピクトグラムの作成を逆に許してしまうものです.
一方,それらの機能も,プログラミングを学習する文脈からすると,ある方が可能性が広がります.
なかなか難しい判断ですが,いくつかの機能を実現するブロックを追加しました.日本語版,英語版の両方とも追加しています.
冒頭で申し上げた理由により,これらはいずれも「その他」カテゴリに配置しています.
(1)話す,言うブロック
「話す」ブロックは引数で与えられた文を音声合成で発生します.
「言う」ブロックは,引数で与えられた文を指定された条件で,吹き出しで表示します.
一般には,アルゴリズムの学習をはじめプログラミング言語を用いるとどうしても,演算の結果を数字や文字で出力するような機能が欲しいということになってきます.例えば,1から10までの和を求めるプログラムを書くとかです.
文字列処理やリストも扱いたくなると思いますので,Google Blocklyで用意されているこれらのブロックも使用できるようにしました.
(2)お面,仮面ブロック
ピクトグラムには表情がありません.なので,お面をかぶって表情を出すことができます.回転命令において,回転の対象に「頭」があり,なぜ単なる円なのに,回転があるか不思議に思われた方もいらっしゃるかもしれませんが,これが理由です.また人間の側にも仮面という形で表情を出せるようにしました.これも以前からある機能でしたが,今回Block Programmingでも使えるようにしました.
これは標準のピクトグラムの作成指針にはありませんが,望ましくない状態のピクトグラムを作成して,それに対して人が嫌悪感を抱いている状況を表現するとか,逆に最近嬉しかった出来事をピクトグラムで表現してもらう等々の使い方が考えられます.
同じ挨拶でも表情が異なると随分異なった印象を与えてしまいます.私たち人間も常に気をつけないとですね.
ピクトグラム作成にあたり,最初から最後までデザインのルール下だけで考えるのではなく,回り道を許容し,遊びごごろを通じて作成する場を提供できれば,これまでにないようなデザインの点から見ても申し分のない,素敵なピクトグラムが誕生するかもしれませんね.