共通テスト「情報」最適化の原則 Vol.8 2025年度共通テスト追・再試験「情報I」のプログラム問題を見てみよう.

 

第8回目となる今回は,共通テスト教科追・再試験「情報I」のプログラム問題を解いてみたいと思います.

問題(令和7年1月26日実施)PICTO式で解いてみる.

では問題を見ていきましょう.
この第3問(22ページから27ページ)がプログラミング,アルゴリズムの問題です.この問題を実際に解いてみたいと思います.

設問1

 まずいきなりですが,図2から見てみましょう.え!いきなりプログラムと解答群から見るんですか?と驚かれるかもしれませんが,とりあえず見てみましょう.

さて,空欄[  ア  ][ イ ]を考えてみましょう.解答群を見ると,まず添え字の番号が1,2,nで分かれています.キャプションに一人分の結果を各配列に格納するプログラムとあります.ということは,Iremono,Shurui,Keiryouの対応する添字の番号に順に入れるので,nが本命だと思われます.(05)行で種類と書いてありますので,空欄アは(5),同様に(07)行で軽量と書いてありますので,空欄イは(8)でしょう.

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
変数が連続代入されることはない

 

設問2

 まずいきなりですが,図4から見てみましょう.え!いきなりプログラムと解答群から見るんですか?と驚かれるかもしれませんが,とりあえず見てみましょう.

 

まず[ ウ ]を考えてみましょう.(01) 行で代入されたninzu(単位は人)は使われるとしたら,[ ウ ][ カ ][ キ ] のいずれかですが,[ カ ][ キ ]はいずれも単位がgです.足し算の場合,全ての項は単位が同じになるはずです.よって[ ウ ]は(4) ninzu です.原則はもう頻出の以下のものですね.

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
変数や配列の要素の値の単位が何になるか考えよ.

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
ある変数の値がある変数に代入や比較されるならば単位はたぶん同じ.

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
定義されている変数,配列が使われないことはない

 

[ カ ][ キ ]は繰り返しの中で使われていますが,いずれも変数kanen,
funen の代入文の右辺にそれぞれ kanen, funen が含まれていないと,連続代入になってしまいます.よって [ カ ]は(5) kanen, [ キ ]は(6)funenです.

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
変数が連続代入されることはない

次に[ エ ][ オ ]に行きましょう.図2からIremono[i] もShurui[i] もなんらかの名称で表現されるモノを割り当てた数値(単位なし)です.比較されるということは単位は多分同じです.よって,(2)(5)は除かれます.図2からShurui[i] == 1 だと可燃ごみで,Shurui[i] == 2 だと不燃ごみと書かれているので,変数名kanen,funenとの対比を考えると[ オ ]は(3)Shurui[i] == 1 が濃厚です.また,図2から,Iremono[i] == 1 だとバケツで,Iremono[i] == 2 だとゴミ袋と書いてあるので,おそらく350はバケツの重さで,[ エ ]の正答は,(0) Shurui[i] == 1 が濃厚です.

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
変数と変数が比較されるならば単位はたぶん同じ.

 

設問3

 まずいきなりですが,図5から見てみましょう.え!いきなりプログラムと解答群から見るんですか?と驚かれるかもしれませんが,とりあえず見てみましょう.

ではやってみましょう.
ちなみに[ ア ]はIremono[n]です.[ ク ]から行きましょう.

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
定義されている変数,配列が使われないことはない
ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
変数や配列の要素の値の単位が何になるか考えよ.

 

からもうわかりますね.[ ク ]が(1)shuruisuです.[ ケ ]は

 

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
ある変数の値がある変数に代入や比較されるならば単位はたぶん同じ.

 

を考えると,(07)行の左辺は,ゴミの種別を番号で表したものなので単位はないです.単位がない(というかループ変数で何にでもなりうる)のは,(0) j です.

次に,図6を見てみましょう.え!いきなりプログラムと解答群から見るんですか?と驚かれるかもしれませんが,とりあえず見てみましょう.

 

 

共通テスト「情報」最適化の原則 を適用すれば,
[ コ ]は(4) Shurui[i],[ サ ]は(c)Goukei[s],[ シ ]は(8) Namae[j] ,[ ス ]は(b) Goukei[j]であることを導くのは難しくありません.どれを適用すれば良いのか考えてみてください.

最後に

以上が,2025年度共通テスト追・再試験「情報I」のプログラム問題の解説でした.一見テクニック集かと思われるかもしれませんが,いずれもデバッグやリファクタリングの際に行なっているプログラミングの自然な行為なのです.今回の試験では,本試験に引き続き1オリジンの配列が使われました.事前では,0オリジンの配列がデフォルトと思われていたので,少し混乱も見られたようです.しかしながら作問チームがあえて1回目の試験で,1オリジンの配列を適用してきたのは,メッセージとしては妥当かと思えます.

共通テスト「情報」最適化の原則 Vol.7 2025年度共通テスト本試験「情報I」のプログラム問題を見てみよう.

 

第7回目となる今回は,共通テスト教科本試験「情報I」のプログラム問題を解いてみたいと思います.

 

問題(令和7年1月19日公開)PICTO式で解いてみる.

 

では問題を見ていきましょう.
この第3問(22ページから27ページ)がプログラミング,アルゴリズムの問題です.この問題を実際に解いてみたいと思います.

設問2

 まずいきなりですが,図4から見てみましょう.え!いきなり設問1も飛ばして,プログラムと解答群から見るんですか?と驚かれるかもしれませんが,とりあえず見てみましょう.プログラムを実行されたい場合は 図4のプログラム をクリックしてください.

 

今回の試験では,1オリジン(要素番号が1から始まる)の配列が使われました.事前では0オリジンの配列がデフォルトと思われていたので,少し混乱も見られたようです.しかしながら,作問チームがあえて初回の試験で,1オリジンの配列を使用してきたのは,メッセージとしては妥当かと思えます.この問題の場合,1オリジンの部員番号,工芸品番号を扱う際に0オリジンとすると添字に-1がつくことになり,そのズレが原因で,受験者が凡ミスで別の解答を選択する懸念があるからです.以前の「情報関係基礎」の試験では1オリジンで扱うことが通常でした.作問者からすると当然の配慮かと思います.

さて,空欄[ キ ]を考えてみましょう.配列Akibiは他のところで一切参照されていません.使われるとするとこの部分になります.よって正答は(1)か(3)ですが,そのいずれなのかはこれだけではわかりません.ただし,このプログラムと図のキャプションから「担当部員は三人いる.それぞれの担当部員にはAkibiという値が設定されている.最もAkibiの値が小さいか最もAkibiの値が大きい担当部員が工芸品を割り当てられる.どちらなのかは,この位置より前のどこかに文章で指定されているはずだ.」この情報を把握してから問題中の自然言語で書かれた文章を読む,つまり解答するのに必要な目的を知ってからその情報が含まれる文を全体から探すのと,そうでなくとりあえず仕様把握を目的に全体をくまなく読むのでは効率が変わってきます.

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
繰返し文で配列の要素番号がインデックスで1オリジンなら1から(配列の要素数)まで1ずつ増やしながら繰り返すのが本命

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
定義されている変数,配列が使われないことはない

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
先にプログラムを読むことで,結果自然文章で書かれている仕様把握が早くなる.

 

 

 

設問3

 まずいきなりですが,図5から見てみましょう.え!いきなりプログラムと解答群から見るんですか?と驚かれるかもしれませんが,とりあえず見てみましょう.

まず[ コ ]を考えてみましょう.次の2つの原則から,[ コ ]は(4)か(3)かと思われます.

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
変数が連続代入されることはない

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
初期化されていない変数が使われることはない

また,次の原則を使って考えてみます.

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
変数や配列の要素の値の単位が何になるか考えよ.

buinsuは人,buin, tantou は人を識別するための番号,kougeihinsuuは個,kougeihinは個数で数えられる(工芸品と思われる)ものの番号.です.

次の原則,
ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
ある変数の値がある変数に代入や比較されるならば単位はたぶん同じ.

から,[ コ ]が(4)なら,[ ケ ]は(1),[ コ ]が(3)なら,[ ケ ]は(0)か(2)と思われます.

再び次の原則を適用すると

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
変数が連続代入されることはない

[ ケ ]は(0)でも(2)でもないことがわかります.(2)は行6で代入されていますし,(0)は行7で代入されています.つまりこれで[ コ ] は(4),[ ケ ]は(1)の組み合わせであることがわかります.

次に[ サ ],[ シ ]をみてみましょう.まず配列Nissuのインデクスに入りうるのはkougeihinでしょうか?tantouでしょうか?kougeihinは工芸品の番号で1-9, tantouは人の番号で1-3でした.Nissuの要素数は9でこれはkougeihinsuの9です.つまりは入るのはkougeihinと考えられます.また,tantouだとすると配列要素4-9の値は使われないことになってしまいます.そういう見方もありです.つまり次の2つの原則を使用します.

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
変数や配列の要素の値の単位が何になるか考えよ.

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
定義されている変数,配列が使われないことはない

すると[ サ ],[ シ ]は(0),(2),(4)のいずれかだとわかります.10行目の表示関数の文字列 Akibi[tantou] , “日目〜”, Akibi[tantou] + [ サ ], “日目” と期間を記載しています.期間ですので,例えば5日目から4日間の日数だと範囲としては5日目から(5+4-1)日目となります.つまり[ サ ]の解答は(2)であるとわかります.
10行目のAkibi[tantou] , “日目〜” という表記から,どうもAkibi[tantou]は作業を開始する開始日であるとわかります.よって次の作業の開始日はおそらくAkibi[tantou]+Nissu[kougeihin]である.つまり[ シ ]の解答は(0)であると思われます.(4)のように配列要素のインデックスに-1が含まれる解が候補となるかは,次の原則

ー 共通テスト「情報」最適化の原則 ー
繰り返し文は1回目の繰り返しを考えて当てはめてみる.

を適用するとNissu[0]となってしまい,今回は1オリジンなので,これが不適であり,解の候補から外れることがわかります.
図4や図5とも完全なプログラムが分かれば,そこから逆に自然言語で書かれている説明文の空欄を埋めていくのは遥かに容易になります.

 

プログラムを実行されたい場合は 図5のプログラム をクリックしてください.

最後に

以上が,2025年度共通テスト「情報I」のプログラム問題の解説でした.一見テクニック集かと思われるかもしれませんが,いずれもデバッグやリファクタリングの際に行なっているプログラミングの自然な行為なのです.

 

 

 

高等学校情報科の授業利用を想定したネットワークシミュレータ「ピクトコルシミュレータ(Pictocol Simulator)」の使い方マニュアルをアップデートしました.

高等学校情報科の授業利用を想定したネットワークシミュレータ「ピクトコルシミュレータ(Pictocol Simulator)」の使い方マニュアルをアップデートしました.

 

高等学校情報科の授業利用を想定したネットワークシミュレータ「ピクトコルシミュレータ(Pictocol Simulator)」の使い方マニュアルをアップデートしました.特徴として,コンピュータネットワークを学校生活の人間関係になぞらえて表示する機能や,共通テストでも出題の可能性があるトラブルシューティングの機能が挙げられます.

 

今回,情報科教員の先生方からのご要望でありました「アンカー文字列を直接アクセスして即座に特定のネットワーク構成が表示された状態での表示」や「ノード,リンクに対するラベル表示」などの機能に関する説明を追加しています.

 

ピクトグラミングWebサイト https://pictogramming.org/  からアクセスください.

ピクトコルシミュレータ(Pictocol Simulator)に直接アクセスされたい場合は,こちらになります.

使いかたマニュアルにアクセスされたい場合は,こちらになります.

 

学会発表

1.前田祐杜,石井 幹大,伊藤 一成:人型ピクトグラムに着目した教育向けネットワークシュミレータ「Pictocol Simulator」の試作,第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2024(2024.03)

2. 前田 祐杜,石井 幹大,伊藤 一成: ピクトグラムに着目した教育向けネットワークシミュレータ「Pictocol Simulator」の開発と評価, 情報処理学会研究報告 コンピュータと教育,CE177 (2024.12)

3.前田祐杜,石井 幹大,伊藤 一成:高等学校情報科の授業利用に特化した教育向けネットワークシミュレータの開発と評価,第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025(2025.03)

高等学校情報科の授業利用を想定したネットワークシミュレータ「ピクトコルシミュレータ(Pictocol Simulator)」をアップデートしました.

高等学校情報科の授業利用を想定したネットワークシミュレータ「ピクトコルシミュレータ(Pictocol Simulator)」をアップデートしました.

 

高等学校情報科の授業利用を想定したネットワークシミュレータ「ピクトコルシミュレータ(Pictocol Simulator)」をアップデートしました.特徴として,コンピュータネットワークを学校生活の人間関係になぞらえて表示する機能や,共通テストでも出題の可能性があるトラブルシューティングの機能が挙げられます.

 

今回,情報科教員の先生方からのご要望でありました「アンカー文字列を直接アクセスして即座に特定のネットワーク構成が表示された状態での表示」や「ノード,リンクに対するラベル表示」などの機能を追加しています.

 

ピクトグラミングWebサイト https://pictogramming.org/  からアクセスください.

 

学会発表

1.前田祐杜,石井 幹大,伊藤 一成:人型ピクトグラムに着目した教育向けネットワークシュミレータ「Pictocol Simulator」の試作,第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2024(2024.03)

2. 前田 祐杜,石井 幹大,伊藤 一成: ピクトグラムに着目した教育向けネットワークシミュレータ「Pictocol Simulator」の開発と評価, 情報処理学会研究報告 コンピュータと教育,CE177 (2024.12)

3.前田祐杜,石井 幹大,伊藤 一成:高等学校情報科の授業利用に特化した教育向けネットワークシミュレータの開発と評価,第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025(2025.03) 発表予定

 

高等学校情報科の授業利用を想定したネットワークシミュレータ「ピクトコルシミュレータ(Pictocol Simulator)」を公開しました.

高等学校情報科の授業利用を想定したネットワークシミュレータ「ピクトコルシミュレータ(Pictocol Simulator)」を公開しました.

 

ピクトコルシミュレータ(Pictocol Simulator).を公開しました.

高等学校情報科の授業利用を想定したネットワークシミュレータです.特徴として,コンピュータネットワークを学校生活の人間関係になぞらえて表示する機能や,共通テストでも出題の可能性があるトラブルシューティングの機能が挙げられます.

 

ピクトグラミングWebサイト https://pictogramming.org/  からアクセスください.

 

学会発表

1.前田祐杜,石井 幹大,伊藤 一成:人型ピクトグラムに着目した教育向けネットワークシュミレータ「Pictocol Simulator」の試作,第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2024(2024.03)

2. 前田 祐杜,石井 幹大,伊藤 一成: ピクトグラムに着目した教育向けネットワークシミュレータ「Pictocol Simulator」の開発と評価, 情報処理学会研究報告 コンピュータと教育,CE177 (2024.12)

 

 

2024-08-04 ピクトグラムコンテンツ共有・相互評価システム「ピクトグラミーティング」を公開しました.

ピクトグラムコンテンツ共有・相互評価システム「ピクトグラミーティング」を公開しました.

ピクトグラミングトップページ( https://pictogramming.org/ )の「PICTOGRAMEETING」の項目の「セットアップガイド(管理者向け)」のボタンからアクセスください.

高等学校情報科の授業や,ワークショップ等でご活用ください.

 

 

 

2024-04-10 ピクトグラムを含むWebページ風コンテンツが簡易に作成できるアプリケーション「ピクタグラミング」をアップデートしました.

日頃からピクトグラミングシリーズをご愛顧いただき,まことにありがとうございます.

 

ピクトグラムを含むWebページ風コンテンツが簡易に作成できるアプリケーション「ピクタグラミング」をアップデートしました.今回,タグ集合 HPML(Human Pictogram Markup Language) の仕様を見直しました.

 

タグ集合 HPML(Human Pictogram Markup Language) を用いた構造化文書の形式で,ピクトグラムを制作できます.HTMLやCSSを併用することでピクトグラムを含むWebページ風コンテンツも作成できます.

授業利用等でお役立てください.

 

アプリケーションのURLはこちらです.

https://pictogramming.org/apps/pictagramming/

また使い方ページ

もアップデートいたしました.具体的なアップデートにつきましては,こちらをご参照ください.

ピクタグラミング 使い方

 

 

 

 

2024-02-21 ピクトグラミングシリーズの新しいアプリケーション「ピクタグラミング」を公開しました.

日頃からピクトグラミングシリーズをご愛顧いただき,まことにありがとうございます.

 

ピクトグラミングシリーズの新しいアプリケーション「ピクタグラミング」を公開しました.青山学院大学社会情報学部伊藤一成研究室所属の学部3年生(2024年2月現在)木下倭が中心で開発しています.

タグ集合 HPML(Human Pictogram Markup Language) を用いた構造化文書の形式で,ピクトグラムを制作できます.HTMLやCSSを併用することでピクトグラムを含むWebページ風コンテンツも作成できます.

授業利用等でお役立てください.

 

ピクトグラミングサイトの「トップページ」からアクセスできます.

URLはこちらです. https://pictogramming.org/apps/pictagramming/

使い方マニュアルはこちらです.

 

参考文献

1.木下 倭,高橋伶奈,伊藤 一成:ピクタグラミング −ピクトグラムの作成を通じたマークアップ言語学習アプリケーションの試作−,2023年度情報処理学会関西支部支部大会, (2023.09.24) (支部大会奨励賞受賞)

2. 木下 倭,高橋伶奈,伊藤一成:ピクタグラミング −ピクトグラムの作成を通じたマークアップ言語学習アプリケーションの開発とその評価-,第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2024(2024.03)

2024-02-20 ソートアルゴリズムの学習アプリケーション「人型ピクソートグラム」にソースコード表示機能(共通テスト用プログラム表記,Python言語)を追加しました.

日頃からピクトグラミングシリーズをご愛顧いただき,まことにありがとうございます.

 

ソートアルゴリズムの学習アプリケーション「人型ピクソートグラム」にソースコード表示機能(共通テスト用プログラム表記,Python言語)を追加しました.「人型ピクソートグラム」は青山学院大学社会情報学部伊藤一成研究室所属の渡辺大智が中心に開発しています.

詳しくは,使い方ページ( https://pictogramming.org/?page_id=3754 )をご覧ください.

 

(アプリケーションURL)

「3. ソースコード表示機能」を使わない場合:           https://pictogramming.org/apps/humanpicsortgram/

「3. ソースコード表示機能」を使う場合:                  https://pictogramming.org/apps/humanpicsortgram/?program

 

(学会発表)

1. 渡辺大智,御家雄一,伊藤一成:人型ピクトグラムを用いたソートアルゴリズムを学ぶアプリケーション「人型ピクソートグラム」の実装,2022年度情報処理学会関西支部支部大会, (2022.09.18)

2. 渡辺大智, 御家雄一, 伊藤一成:‹人型ピクトグラムを用いたソートアルゴリズムを学ぶ アプリケーション「人型ピクソートグラム」の拡張と評価,第15回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2023, (2023.03) (学生プレゼンテーション賞受賞)

3. Taichi Watanabe, Yuichi Oie, Kazunari Ito: An Application for Learning Sorting Algorithm using Human Pictograms, IMCOM(International Conference on Ubiquitous Information Management and Communication) 2023, (2023.01)

4. 渡辺大智,石井幹大,伊藤一成:アニメーションおよびソースコード表示を活用したソートアルゴリズム学習アプリケーションの開発,第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2024(2024.03)

人型ピクサーフィング 使い方

画面構成

領域Aは隣接行列の値,及び減衰係数を設定する「ネットワークグラフ設定領域」,領域BはPageRankの計算式を表示する「行列式表示領域」,領域Cは人型ピクトグラムをノードとするネットワークグラフをアニメーション表示する「ネットワークグラフ表示領域」である.この3領域から構成される.

領域A「ネットワークグラフ設定領域」

領域A「ネットワークグラフ設定領域」では,ノード数を選択する「ノード数選択ボックス」,隣接行列を入力する「隣接行列入力ボタン群」,隣接行列入力ボタン群をランダムに自動入力する「ランダム入力ボタン」,減衰係数を入力する「減衰係数入力ボックス」,各ノードのPageRankの値を1ステップ更新し,対応するアニメーションを再生する「進むボタン」,PageRankの値を更新し続けるアニメーションを再生,及び一旦停止する「再生制御ボタン」で構成している.

 

「ノード数選択ボックス」は,ノード数を3から6までの値からなるプルダウンメニューから選択する.選択すると,「隣接行列入力ボタン群」の行数,及び列数が選択した値になる.なお初期状態では,「ノード数選択ボックス」,及び「隣接行列入力ボタン群」の行数,列数は3である.「隣接行列入力ボタン群」の各ボタンのラベルは初期状態では0であり,ボタンを押下するとラベルが0の場合は1に,1の場合は0に変化する.ただし,対角成分の一つに相当するボタンは押下しても値は0から変化しない.「ランダム入力ボタン」を用いると,「接続行列入力ボタン群」のボタンをランダムで自動的に押下する.「減衰係数入力ボックス」には減衰係数が格納されており,初期状態では0.85が設定されている.行列の入力を完了したうえで,「進むボタン」または「再生制御ボタン」を押下すると,ページランクの計算,及びアニメーションが開始する.

 

領域B「行列式表示領域」

領域B「行列式表示領域」では,PageRankの計算では,左辺に計算結果,右辺に計算式が表示される.イテレーションが進むごとにページランクの計算結果,及び一つ前のページランクの更新値を表示する.

行列式の要素をマウスオーバーすると,マウスオーバーした要素とキャンバスの要素をマークする.下図は,行列式をマウスオーバーした例である.行列式左辺のPageRankの値をマウスオーバすると,キャンバス上の対応するノードをハイライトする.行列式右辺における遷移確立行列の特定の値をマウスオーバーすると,下図のように,その値と減衰係数,対応する行列の要素,及びひとつ前のステップのPageRankの値をハイライトすると同時に,キャンバス上の対応するリンクの色を変更し,行列式における各リンクを辿って伝播する数値と数式表現の対応がわかりやすいようにする.

領域C「ネットワーク グラフ表示領域」

領域C「ネットワークグラフ表示領域」では,リンクを矢印,ノードとユーザの移動を人型ピクトグラムで表現している.ユーザの移動は,リンク上の移動を黒色,テレポーテーションを灰色で示している.ノードピクトグラム上の数値はそのノードのPageRankの値を示しており,ステップの更新とともに変化する.リンク上を移動する黒色で示した人型ピクトグラムは,隣接行列においてリンクで繋がれたノード上を移動する数量を人型ピクトグラムの大きさで表している.

キャンバス上の要素に対してマウスオーバーすると,領域B「行列式表示領域」の対応する部分をハイライトする.ノードピクトグラムをマウスオーバーすると,行列式におけるそのノードのPageRankの値をマークし,リンクをマウスオーバーすると,リンクを辿って移動する数量の算出に使用される値群,つまり減衰係数,対応する遷移確率行列の値,対応する1/N行列の値,及びひとつ前のステップのPageRankの値をハイライトする.

領域A「ネットワークグラフ設定領域」にある,「隣接行列入力ボタン群」の直接入力,または「ランダム入力ボタン」によって「隣接行列入力ボタン群」の値が変えたとき,キャンバスにノードとリンクを描画し,ステップの値を0にする.再生中にノード数や隣接行列の入力値が変わると再生を自動で停止し,変更後のノードとリンクを描画する.

 

参考文献

高橋伶奈,伊藤一成:ランダムサーファーモデルの学習アプリケーション「人型ピクサーフィング」の実装と評価,第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2024(2024)