ピクトグラミングへの思い

 

人型ピクトグラムという抽象度の高い人間を模した表現が主題であるゆえに,人の日常的活動や社会的活動にリンクしたテーマが教科や教育段階の枠を超えて設定しやすいと考えています.また,人型ピクトグラムは,我々人間がメタ的,客観的に我々の活動を振り返りながら,我々の化身として人間中心の学習環境を設計・構築していく手助けをしてくれるはずです.

”ピクトグラミング”という言葉は,単なる1アプリケーションを超えた,未来の教育・学習を考える上での基本概念としての活用を目指しています.

 

授業でご活用ください

ピクトグラミングは,ピクトグラム作成環境ですが,初中等教育での授業利用(特にプログラミング教育)にも力点をおいています.

高等学校では2022年度より学年進行で適用される次期学習指導要領において,情報の科学的理解を基軸とする「情報I」が必履修科目となります.その四本柱には,プログラミングによりコンピュータを活用する力,モデル化,シミュレーションによるモデル評価などから構成される「コンピュータとプログラミング」という項目の他に,情報デザインに配慮した的確なコミュニケーションの力を育む「コミュニケーションと情報デザイン」があります.科目単元として学習する際,限りある授業時間数の中でいかに学ばせるかは主題の一つであり,人型ピクトグラムを主眼に置くことで,両方の項目を複合的かつ効率的に学ぶシラバスが設計できるのもピクトグラミングの長所の一つです.

また中学校でも,次期学習指導要領の「技術・家庭科」では,計測制御のプログラミングに加え,インタラクティブなコンテンツを生成するプログラミングも加えられ,プログラミングの比重が高まります.人型ピクトグラムは,四肢二関節のロボットとみなすことができ,ロボット制御のシミュレータソフトウエアとしての活用が想定できます.またピクトグラムというインタラクティブコンテンツ生成の視点のプログラミング環境としても当然活用できます.

小学校プログラミング教育の手引(第一版) – 文部科学省 2018.03.30 では,小学校での教育課程内のプログラミング教育について次の4項目に分類しています.

A分類 学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの

B分類 学習指導要領に例示されてはいないが,学習指導要領に示されている各教科等の内容を指導する中で実施するもの

C分類 各学校の裁量により実施するもの

D分類 クラブ活動など,特定の児童を対象として実施するもの

特にA分類で例示されている小学校5年生   算数 図形(多角形)の性質,小学校6年生   理科 電気の利用,特に「図形の性質」については,すでに多くの実践事例が報告されています.多くは,タートルグラフィックスで図形を描くプログラムを通じて図形の性質を学ぶ実践となっています.

仕事柄教育関係者の方々と話すことが多いのですが,この単元に関して,以前このような声を耳にしました.

1.「学習指導要領で書かれている内容が学習されればいいのだから,「ネコで描こうが,亀で描こうが,人型ピクトグラムで描こうが関係ない」」

2.「これまでの定規とコンパスで描いてきたアナログな図形描画とデジタルでの図形描画(タートルグラフィックスを例に出していました)は全く異なる」

本当にそうなのでしょうか?

ピクトグラミングでは,タートルグラフィックスに相当するグラフィックス描画もサポートしていますが,それに加えて先日のエントリで「人型ピクトグラムの様々な部位を使って線画を描くことができるようになりました.」でご紹介したように,異なった視点(一人称鏡像視点とでもいうのでしょうか)の図形描画を実装することにしました.

「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」2016-06-16 に以下の記述があります.

コーディングを覚えることが目的ではないことを明確に共有していくことが不可欠である。また、一人で黙々とコンピュータに向かっているだけで授業が終わったり、子供自身の生活や体験と切り離された抽象的な内容に終始しないよう、留意が必要である。楽しく学んでコンピュータに触れることが好きになることが重要であるが、一方で、楽しいだけで終わっては学習成果に結びついたとは言えず、子供たちの感性や学習意欲に働きかけるためにも不十分である。学習を通じて、子供たちが何に気付き、何を理解し、何を身に付けるようにするのかといった、指導上のねらいを明確にする必要がある。

Scratchを一斉授業で学習者全員が同一のゴールを目指すという単元型学習で使う事例も多く散見され, Scratchを検定試験に使うような団体も現れてしまっています.Scratch は非常にPowerful なツールですが,昨今のプログラミング教育ブームや,次期学習指導要領への対応状況を鑑み,授業利用限定するならば,どうScratchを使わないかという視点も同時に考えることが,現状を鑑みると残念なことなのですが必要だと思います.

ピクトグラミングは,例示した内容以外にも小学校から高等学校に至るまで様々な切り口での活用が見込まれます.その理由としてやはり人型ピクトグラムという抽象度の高い人間を模した表現を主題にあるゆえに,人の日常的活動や社会的活動にリンクしたテーマが教科や教育段階の枠を超えて設定しやすいことが基底にあると考えます.

ぜひ授業等でご活用ください.

また先生方からは,よく著作権に関しての質問をされます.

ピクトグラミングのプログラムは,著作権で保護されていますが,ピクトグラミングは単なるオーサリングツールですので,
当然ピクトグラミングを使って作成されたピクトグラムの著作権は,そのピクトグラムを作成された方に帰属します.ご安心ください.

さらにIE(インターネットエクスプローラ)でも動作するかという,動作環境に関する質問もよく受けます.

IE(インターネットエクスプローラ)は独自仕様が多く,近年プログラミング教育用アプリケーションはIEをサポートしないものが少なくありません.またIEはマイクロソフト社でも既に利用を推奨しないなどの報告がされていますが,実情としては,小学校,中学校,高校では未だにIEしか使えない学校が多いです.おかげさまで,小学校,中学校,高校,大学で使っていただいているのは以前ご報告した通りです.ピクトグラミングは学校で使っていただくことを念頭に入れており,一部機能制限はあるもののピクトグラミングはIEでも動作することができます.今後もしばらくの間は,IEでも動作するように,IE対応は続けていきます.よろしくお願いします.